はじめに
MacBookは軽量でデザイン性が高く、ビジネスやクリエイティブ用途まで幅広く使われています。中でも外付けSSDを使えば、ストレージ容量を簡単に拡張でき、動画編集や写真管理など大容量データを扱う作業にも対応できるため、多くのユーザーが導入しています。
しかし、便利な一方で外付けSSDには見落とされがちなデメリットも存在します。ここでは、MacBookで外付けSSDを使う際に注意したい3つの欠点を、実際の使用シーンに沿ってわかりやすく解説します。
ファイルシステムの違いによる互換性トラブル
まず1つ目のデメリットは「ファイルシステムの違いによる互換性トラブル」です。MacBookでは標準でAPFSまたはHFS+というファイルシステムが採用されています。一方、市販の外付けSSDはWindows向けにNTFSでフォーマットされている場合が多く、そのままMacBookに接続すると「読み取り専用」になり、ファイルを書き込むことができません。
このため、初回使用時にはディスクユーティリティでexFATやAPFSに再フォーマットする必要があります。
しかし、ここで注意しなければならないのは、フォーマットの種類を誤ると他のデバイスで読み込めなくなる点です。たとえばexFATであればMacとWindowsの両方で使えますが、APFSにしてしまうとMac専用になってしまいます。また、フォーマット作業を行うとSSD内のデータがすべて消えるため、バックアップを取らずに実施すると大切なデータを失う危険もあります。普段Windows PCとデータをやり取りしている方は、フォーマット形式を慎重に選ぶ必要があります。
ポート不足や接続トラブルによる使い勝手の悪さ
2つ目のデメリットは「ポート不足や接続トラブルによる使い勝手の悪さ」です。最近のMacBookはUSB-C(Thunderbolt 3または4)端子のみを採用しており、従来のUSB-A端子を備えていません。そのため、外付けSSDを接続する際には変換アダプタやハブが必要になるケースが多いです。このアダプタを介して接続すると、ケーブルの接触不良や相性の問題でSSDが正しく認識されないことがあります。
特に安価なハブや長いケーブルを使用している場合、転送速度が低下したり、接続が頻繁に切断されたりするトラブルも発生しがちです。
また、複数の周辺機器(外部ディスプレイやマウス、オーディオ機器など)を同時に接続すると、電力不足でSSDが不安定になることもあります。MacBook本体は省電力設計のため、ポートからの給電が十分でないことが原因です。
このような状況を避けるためには、信頼性の高いUSB-Cケーブルやセルフパワータイプのハブを使用するなど、周辺機器の品質にも気を配る必要があります。見た目のスマートさに反して、実際の運用ではケーブルやアダプタが増え、携帯性が損なわれる点も意外なデメリットです。
熱と速度低下の問題
3つ目のデメリットは「熱と速度低下の問題」です。MacBookは薄型設計ゆえに排熱性能が限られており、外付けSSDを長時間使用すると熱がこもりやすくなります。特に高速転送に対応したNVMeタイプのSSDは動作中に温度が上がりやすく、長時間のファイルコピーや動画編集を行うと本体が熱くなり、転送速度が自動的に制限されるサーマルスロットリングが発生することがあります。これにより、作業途中で転送が遅くなったり、一時的に認識が切れることもあります。
さらに、MacBook側のポートも高温になることで接触不良や端子の劣化が早まる恐れがあります。外付けSSDを安全に使うためには、放熱性の高いアルミ製ケースを選ぶ、熱のこもりにくい環境で使用する、連続転送時には一度休ませるなどの工夫が必要です。特に動画編集や大容量バックアップなどの用途では、冷却対策をしていないとパフォーマンス低下に直結するため注意が必要です。
システム統合性の制限
また、これらの主要な欠点に加え、外付けSSDは「システム統合性」の面でも制限があります。MacBookでは外付けSSDを起動ディスクとして利用することも可能ですが、macOSのアップデート時にエラーが発生したり、セキュリティ設定によって認識されなくなる場合があります。Appleの独自チップ(M1・M2・M3シリーズ)を搭載したMacでは、外部ディスクからの起動に特別な許可が必要なため、初心者には設定がやや難しいと感じられるかもしれません。
さらに、Time Machineによるバックアップ先として外付けSSDを使う場合も、フォーマット形式を間違えるとバックアップが正しく作動しないケースがあります。HDDと比べて速度面では優れていますが、システム全体との相性を理解しておかないと、思わぬトラブルを招くことになります。
賢い使い方と運用のコツ
こうしたデメリットを踏まえると、外付けSSDは「速度と携帯性を重視した補助ストレージ」として使うのが理想的です。大量の動画データや作業中のファイルを一時的に保存する用途には向いていますが、システムの常用ドライブや長期保管用メディアとして使うのはおすすめできません。特に、MacBook本体のSSDは信頼性の高い設計で最適化されているため、外付けドライブを常時接続して作業するよりも、必要なときにだけ使う方が安全です。
また、重要なデータはクラウドや別の外部ドライブにも同時に保存しておくと、SSD故障時のリスクを減らせます。

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