家庭でのデータ管理にNASはやばい。絶対におすすめしない5つの理由

今回は、家庭でのデータ管理にNASを絶対にお勧めしない理由を5つ紹介します。

使い勝手

実はNASの使い勝手は非常に悪いです。具体的には、初期設定の手間と普段の利用における大きな手間があります。

初期設定の手間

NASの初期設定は非常に面倒です。

NASを利用可能にするには、主に以下の手順が必要です。

  1. HDDを物理的にケースに装着する
  2. LANケーブルでルーターに接続し、電源を入れる
  3. PCで専用ソフトを使ってNASを検出する
  4. RAID(データの冗長化)の設定を行う
  5. ユーザーアカウントとパスワードを作成する
  6. 共有フォルダを作成し、アクセス権限を設定する
  7. 外出先からアクセスするための設定(ポート開放など)を行う

確かに、最近はNASメーカーの専用アプリが使いやすくなっていたり、多くのYouTuberが設定動画を公開していたりするため、情報には困らないかもしれません。

ですが、ネットワークの知識が乏しい場合、「IPアドレス」や「ポート」といった専門用語が出てきた時点でつまずく可能性が高いです。

また、セキュリティを考慮せずに安易に外部アクセス機能をオンにすると、ウイルス感染のリスクが高まります。

そのため、「ただデータを保存したいだけ」のユーザーにとっては、設定完了までのハードルが非常に高いのが現実です。

普段の利用における手間

実はNASは1回設置して正しく接続することはできても、何かの拍子に「突然つながらなくなる」「アクセスできなくなる」というトラブルが頻繁に起こります。

その理由として、ルーターの再起動によるIPアドレスの変更や、NAS本体のアップデートによる設定リセットなどがあります。

具体的には、外出先から急ぎでファイルを確認したいのに接続エラーが出たり、気づかないうちにスマホの自動バックアップが止まっていたりすることがあります。

セキュリティ

NASは、簡単に利用できるような宣伝がよくされていますが、実際にはただのサーバです。

そのため、セキュリティ対策はすべて自己責任となります。メーカーが提供する簡易的な設定だけで運用していると、ファームウェアの脆弱性を突かれてランサムウェア(身代金ウイルス)に感染し、大切なデータを人質に取られる事例が後を絶ちません。

特に近年では、QNAPやSynologyといった有名メーカーのNASを標的にした「DeadBolt」や「eCh0raix」といったランサムウェアが猛威を振るっています。

これらは、NASの管理画面を乗っ取り、保存されている全データを暗号化した上で、「データを戻してほしければビットコインを払え」という脅迫画面を表示させます。

被害に遭うと、たとえ身代金(約10万〜20万円相当)を支払ってもデータが復号される保証はなく、多くのユーザーが大切なデータを失っています。

また、外部からの不正アクセスを防ぐためのポート設定やパスワード管理も自分で行う必要があり、セキュリティの専門知識がないまま使うことは、自宅の玄関の鍵を開けっ放しにしておくのと同じくらい危険な行為と言えます。

データ消失リスク

多くのユーザーが「RAID(複数のHDDに分散保存する技術)を使っているから安全」と信じていますが、大きな間違いです。

RAIDはあくまで「稼働率を高めるための技術(1台壊れてもシステムを止めない)」であり、「データのバックアップ」ではありません。

例えば、誤ってファイルを削除した場合、RAIDは瞬時にその「削除操作」をすべてのディスクに反映させてしまうため、データは二度と戻ってきません。

また、NAS本体(コントローラー基板)が故障した場合、HDD自体が無事でも、その独自フォーマットのせいでPCに繋いでもデータを読み出すことは困難です。専門の復旧業者に依頼すれば、数十万円単位の費用がかかることも珍しくありません。

実際に私も、過去にHDD自体は全く問題なかったのに、NAS本体の基板(RAIDコントローラ)が突然故障し、全データにアクセスできなくなってしまった経験があります。

すぐに同じメーカーの新しいNASを購入してHDDを差し替えましたが、独自のRAID構成情報が破損していたためか「未フォーマット」と認識され、データは読み込めませんでした。

慌ててLinuxのPCに直接HDDを接続してマウントを試みましたが、メーカー独自のファイルシステムが採用されていたため解析できず、最終的に専門のデータ復旧業者に依頼することになりました。

しかし、そこで提示された見積もり額は、RAID情報の再構築作業費としてなんと約25万円でした

家庭用のデータ復旧にそこまでの金額は出せず、結局、子供の写真や動画など大切なデータをすべて諦めるという苦い経験をしました。

このように、RAIDを組んでいても「コントローラーの故障=データの消失」に直結するリスクがあます。

初期コストとランニングコスト

NASの導入と維持には、想像以上にお金がかかります。まず初期費用として、エントリーモデルのNAS本体で約2〜3万円、そこに入れるNAS用HDD(4TB×2台など)で約3〜4万円、合計で6〜7万円程度の出費が必要です。

さらに見落としがちなのがランニングコストです。24時間365日電源を入れっぱなしにするため、電気代がかかります。さらに、HDDは消耗品であり、一般的に3〜5年程度で寿命を迎えます。その都度、数万円の交換費用が発生します。

さらに、NASを安全に運用するためには「UPS(無停電電源装置)」がほぼ必須です。

NASは書き込み中に停電やブレーカー落ちが発生すると、HDDが故障したりします。これを防ぐためのUPS導入に約1.5万〜2万円、さらに数年ごとのバッテリー交換費用もかかります。

また、前述の通り「RAIDはバックアップではない」ため、本当の意味でデータを守るには、NASのデータをさらに別の外付けHDDやクラウドにバックアップする必要があります。

つまり、NAS本体+NAS用HDD+UPS+バックアップ用HDDと、周辺機器を含めたトータルコストは軽く10万円を超えてしまうのです。

しかも、NAS本体も結局はパソコンと同じく精密機器であり、数年おきに故障や不具合が発生するリスクがあります。その場合、修理や買い替えのコストが追加でかかるうえ、故障中は一切データにアクセスできなくなるため業務や日常生活にも支障が出てしまいます。

また、長期的に使おうとすると、時代の変化や技術進歩の影響を受けて、数年ごとに新しいNAS本体に買い替えたり、最新のOSやアプリに適合させたりといった対応も必要になり、そのたびに追加出費が必要です。

このように、初期費用だけでなく、運用中にも想定外のコストや手間が多く発生するのがNASの大きなデメリットと言えるでしょう。

物理的リスクと騒音

NASは物理的なハードウェアである以上、設置場所の問題や騒音問題がつきまといます。高性能なNASほど冷却ファンの音が大きく、HDDの読み書き時の「カリカリ音」や振動音は、静かな夜間には意外と耳障りです。寝室やリビングに置くと家族から苦情が来ることもあります。

また、日本のような災害大国では、地震による転倒・落下での破損リスクが常にあります。火災や水害に遭えば、自宅内のデータはすべて物理的に消失します。クラウドストレージであれば、データは堅牢なデータセンターに分散管理されているため、自宅がどうなろうとデータは守られます。

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