今回はiCloudとGoogleフォトを写真や動画の保管の観点から比較してみました。
iCloudの特徴
iCloud写真はApple製品との統合性が非常に強く、iPhoneやiPad、Macで撮影した写真や動画は設定に応じては変化はありますが全てのデバイスに同期されます。
最大の特徴は、「写真アプリのライブラリをそのままクラウドにミラーリングする」仕組みです。例えばiPhoneで撮影した写真は、自動でiCloudへアップロードされ、同じApple IDを利用している他の端末にも反映されます。削除や編集をすると、その内容も全端末に反映されるため、一貫性が保たれる点が大きなメリットです。
また、iCloudはAppleのみのオリジナルな保存形式をそのまま保持することが出来ます。iPhoneで撮影できるHEICやProRAW、ProResといった独自形式も圧縮や変換なしで保存できるため、画質やメタデータを損なわずに管理可能です。
ただし、無料で利用できる容量は5GBと他のサービスと比較すると少なく、写真や動画をバックアップするにはほぼ確実に有料プランへの加入が必要です。50GBから2TBまで選べる「iCloud+」を契約することで快適に使えるようになりますが、容量の少なさは弱点と言えるでしょう。検索機能は一定の水準を満たしており、人物やシーン別に分類してくれますが、Googleフォトほどの柔軟性や精度はありません。
Apple製品との親和性を最優先に考える人には適したサービスですが、利便性や自由度はやや限定的です。
Googleフォトの特徴
一方、Googleフォトは端末に依存せず、iPhoneやAndroid、PCなどOSに依存することなく幅広い環境から利用できます。最大の特徴は「端末の写真アプリとは独立して動作するバックアップ型の仕組み」であることです。写真や動画をGoogleフォトにアップロードすれば、端末から削除してもクラウド上には残すことができます。
これはiCloudと大きく異なる点で、端末の空き容量を確保しやすいメリットがあります。特に長年使い続けて写真が膨大になった場合、この仕組みは非常に便利です。
また、Googleフォトの最大の強みはAIを活用した検索・整理機能です。キーワードを入力するだけで、被写体やシーンを自動的に認識し、該当する写真を瞬時に表示してくれます。
人物の顔認識や撮影場所ごとの分類も優秀で、探したい写真を直感的に見つけることが可能です。さらに、アルバムの共有機能が優れている点も見逃せません。URLを発行して簡単に他人と共有できたり、共同編集でアルバムを作成できたりと、家族や友人との写真のやり取りがスムーズに行えます。この「共有のしやすさ」はiCloudにはない魅力です。
容量面では、無料で15GBを利用できます。ただし、この容量はGmailやGoogleドライブと共通のため、他のサービスを頻繁に使っているとすぐに不足する可能性があります。
Google Oneに加入すれば100GB以上を手頃な価格で利用できるため、長期的に使うなら有料プランが現実的です。保存形式については、「オリジナル画質」と「高画質(軽い圧縮あり)」の2種類を選択できます。高画質モードでも多くの場合十分なクオリティですが、完全にオリジナルを保持したい場合はオリジナル画質を選ぶ必要があります。
まとめ
ここまで見てきたように、両サービスは似ているようで方向性が大きく異なります。iCloud写真はApple製品と密接に統合され、写真アプリそのものをクラウドに置く「同期型」のサービスです。Appleユーザーにとって直感的に使える反面、端末から削除すればクラウドからも消えてしまうため、純粋なバックアップとしての安心感は薄いです。
一方、Googleフォトは端末に依存しない「バックアップ兼管理サービス」です。端末から消してもクラウドに残せるため、保存と整理の自由度が高く、AI検索や共有機能も強力で、写真を活用する場面で機能がよく使われます。
結論として、どちらが優れているかは利用スタイルによって異なります。Apple製品を複数使っていてシンプルに同期したい人はiCloud写真がおすすめです。特にMacやiPadを併用しているなら、一貫した操作感が得られます。検索や整理、共有を重視し、端末に依存せず使いたい人はGoogleフォトがおすすめです。写真を探す頻度が高い人や、家族・友人とアルバムを共有する機会が多い人には特に向いています。
iCloudとGoogleフォトは、「写真や動画を保存する」という目的は同じでも、サービスの思想は大きく異なります。iCloudは“フォトライブラリそのものをクラウドに置く”仕組みであり、Googleフォトは“写真をバックアップして管理・活用する”サービスです。
自分の利用したい方針や追加サービスの契約を検討の有無に応じて利用するサービスも変わっていくのではないかと思います。

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