pCloud とは?
サービス基本情報
pCloudは、2013年にスイスで設立されたクラウドストレージサービスです。セキュリティ意識の高いスイスの法律に準拠した厳格なプライバシー保護を特徴としており、2024年時点で全世界2,200万人以上のユーザーに利用されています。
pCoud公式サイト | pCloud ― ファイルの安全をシンプルに実現
最大の特徴は、DropboxやGoogle Driveのような一般的な月額・年額課金(サブスクリプション)モデルだけでなく、一度料金を支払えば一生涯使い続けられる買い切り型の「ライフタイムプラン」を提供している点です。
PCのローカルディスク容量を消費せずにクラウド上のファイルを扱える「仮想ドライブ機能」が優秀で、まるで外付けHDDを接続しているかのような感覚で利用できるのが強みです。
買い切りプランの特徴
「ライフタイムプラン」と呼ばれるこの買い切りプランは、文字通り一度料金を支払うだけで、99年間(事実上の生涯)そのストレージ容量を使い放題になる仕組みです。
容量のラインナップは主に以下の3種類が用意されています。

- 500GB: スマホの写真バックアップや書類メインの方向け
- 2TB: 動画も保存したい一般的なユーザー向け(一番人気)
- 10TB: 大量の動画素材やRAW画像などを扱うクリエイター向け
一般的なサブスク型(月額制)との最大の違いは、「長く使えば使うほどお得になる」という点です。サブスク型はずっと料金を払い続けなければなりませんが、買い切り型なら数年(通常3〜4年程度)使えば元が取れ、それ以降は実質無料で使い続けられる計算になります。
「毎月の固定費を減らしたい」と考える人にとって、非常に理にかなった選択肢と言えます。
pCloudで解決した悩み
私はpCloudを契約して利用していますが、以下の悩みを解決できました。
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- サブスク料金を一生払い続けるのが嫌:毎月の固定費を気にすることなく、一度の支払いで完結させたかった。
- 写真・動画を長期保存したい:旅行の記録や子供の写真など、数十年単位で消えては困るデータを安全に残したかった。
- 写真・動画をどこでもみたい:外出先でも、スマホやタブレットから自宅のPCにあるデータへアクセスしたかった。
- スマホの機種やOSによらず利用したい:iPhoneからAndroidへの機種変更や、WindowsとMacの両方を使う場合でもスムーズにデータを移行・共有したかった。
- スマホ紛失時の写真や動画の消失リスクから逃れたい:端末が壊れたり失くしたりしても、思い出のデータだけはクラウド上に安全に残るようにしたかった。
料金体系の正直レビュー
料金プラン
pCloudには大きく分けて「買い切り(ライフタイム)」と「サブスク(月額・年額)」の2つの課金形態があります。それぞれの容量ごとの価格帯は以下の通りです(通常価格ベース)。
買い切りプラン(一括払い)
- 500GB: 約199ドル
- 2TB: 約399ドル
- 10TB: 約1,190ドル
サブスクプラン(年額払い)
- 500GB: 約49.99ドル/年
- 2TB: 約99.99ドル/年
- 10TB: 約199.99ドル/年
見ての通り、買い切りプランの価格は年額プランの約4年分に設定されています。つまり、「4年以上使い続けるなら、買い切ってしまった方が圧倒的に安い」という明確な価格設計になっています。
一度支払ってしまえば、翌年以降の請求書やクレジットカードの引き落としを気にする必要は一切ありません。この「支払いのストレスからの解放」こそが、買い切り型の最大のメリットです。
セール・キャンペーンの実態
pCloudの購入を検討する際、絶対に知っておくべきなのが「セールの頻度」です。結論から言うと、pCloudは定価で購入することはお勧めできません。なぜなら、年間を通して頻繁に大型セールが行われているからです。
特に狙い目なのは、日本の祝日や季節イベントに合わせたセール(ゴールデンウィーク、お盆、ブラックフライデー、年末年始など)です。セール時には、以下のような大幅な割引価格で販売されることが一般的です(価格は変動するため目安)。
- 2TB買い切り: 通常$399 → セール時 $279 前後(約120ドルOFF)
- 10TB買い切り: 通常$1,190 → セール時 $890 前後(約300ドルOFF)
急ぎでなければ、次の大型イベントを待って購入するのが最も賢い買い方です。
何年で元がとれる?
他社の有名サービス(2TBプラン)と比較して、実際に何年使えば「元が取れる」のかを試算してみました。
比較対象: 2TBプラン(年額払い)
- Google One (Google Drive): 年額 13,000円
- Dropbox Plus: 年額 19,800円
- pCloud (買い切り): $279(約42,000円 / セール時レート 1$=150円換算)
【試算結果】損益分岐点
- Google Oneと比較した場合: 約3年3ヶ月
- Dropboxと比較した場合: 約2年2ヶ月
結論として、「最低でも3年以上はクラウドストレージを使い続ける」という人であれば、間違いなくお得になります。逆に、「1〜2年で別のサービスに乗り換えるかもしれない」「今のプロジェクトが終わったら不要になる」という方には、初期費用の高いpCloudはおすすめできません。
しかし、スマホの写真バックアップやPCのデータ保管場所として使う場合、3年で利用をやめるケースは稀でしょう。多くの人にとって、この「3年」というハードルは非常に低く、簡単に元が取れる計算になります。
安全性と信頼性の評価
データ保護・暗号化の仕組み
スイス発のサービスというだけあって、pCloudはセキュリティ周りは非常に堅牢です。
pCloud公式サイト | pCloudにおける暗号化の仕組み
まず、すべてのデータは転送時にTLS/SSL暗号化で保護され、サーバー保存時も256ビットAESという銀行や軍事レベルでも採用される暗号化方式で記録されます。さらに、アップロードしたファイルは自動的に5つのコピーが作成され、少なくとも3つ以上の物理的に異なるサーバーに分散保存されます。つまり、1つのサーバーで障害が起きても、別の場所にあるコピーからすぐにデータを復元できるため、データ消失のリスクは極めて低く抑えられています。
また、より高度な機密性を求めるユーザー向けに「pCloud Crypto」という有料オプション(追加買い切りもあり)が用意されています。これを使うと、データがPCやスマホから送信される前に端末内で暗号化され、pCloudの管理者であっても。ファイルの中身を一切見ることができなくなります。

データセンター自体も、SSAE 16 SOC 2 Type IIなどの国際的な認証規格を取得した施設で厳重に管理されており、ハード面・ソフト面ともに隙のない構成になっています。
データの保管場所
pCloudのアカウント作成時に、データを保管するサーバーの場所(データリージョン)を「欧州(EU)」または「米国(US)」から自分で選ぶことができます。
日本から利用する場合は、プライバシー保護の観点から「欧州(EU)」を選択することを強くおすすめします。EUリージョンのデータセンターを選択すると、世界で最も厳しい個人情報保護法と言われる「GDPR(EU一般データ保護規則)」が適用されます。これにより、企業が勝手にユーザーのデータを閲覧したり、第三者に提供したりすることが法律で厳しく制限されます。
一方、米国サーバーを選ぶと政府機関によるデータ検閲のリスクがゼロではありません。
スイス法とGDPRに守られた欧州リージョンを選べるのは、他のクラウドサービスにはない大きなメリットです。
企業としての信頼性
買い切りプランを検討する上で最も気になるのが、「倒産やサービス終了で使えなくなったらどうするの?」という点でしょう。
ISO 9001(品質)やISO 27001(セキュリティ)といった国際規格の認証も取得しており、企業としての体制はしっかりしています。
ただし、「GoogleやMicrosoftよりも倒産リスクが高い」ことは事実です。ただ、先ほどの試算のように、3年以上利用すれば確実にもとが取れるので、「5年〜10年使えれば十分元が取れる」という割り切りを持って契約しました。3年以上続けば儲けもの、というスタンスで使うのが精神衛生上もおすすめです。
使い勝手のレビュー
アプリ・UIの使いやすさ
実際に普段から使い込んでいますが、アプリの完成度は非常に高いです。各プラットフォームごとに感じたポイントをまとめます。
pCloud公式サイト:公式アプリのダウンロードとインストール
デスクトップアプリ(Mac / Windows)

Screenshot
pCloudのソフトをインストールすると「Pドライブ」という仮想ドライブが出現し、まるで外付けHDDを利用しているかのようにPCのエクスプローラー(Finder)から直接ファイルを操作できます。同期フォルダを作るDropbox方式とは違い、PCの容量を全く消費しないのが最大の特徴です。500GBしかないMacBookでも、仮想ドライブ経由で2TBのデータを自由に扱えるのは感動的です。
ただ、Macの場合はセキュリティ上のOSの制約から、少しpCloudソフトのインストールに手間がかかる点は難点です。ただ、一度設定してしまえば、基本的には問題ないので、そこまで不都合はありません。
モバイルアプリ(iOS / Android)

Screenshot
UIはシンプルで迷うことはありません。「自動アップロード機能」をONにしておけば、スマホで撮った写真や動画が勝手にバックアップされます。Googleフォトのような感覚で使えますが
Googleフォトと違って画質劣化(圧縮)が一切ない「オリジナル画質」で保存されるのがありがたいです。
Web版
ブラウザからのアクセスも快適です。特に特筆すべきことはなく、普通のGoogle ドライブと同様に利用できます。これまでは写真の一覧表示などがWeb版では不便だったのですが、ついにWeb版でも一覧表示がスマホと同じ使い勝手で利用できるようになったので、とても便利に過去の写真や動画を振り返れます。
転送速度・安定性
pCloudの転送速度や安定性も全く問題ありません。実際に、5GBのファイルのダウンロードとアップロードを検証した結果を以下に示します。ローカルと比較するとかなり遅いのは事実ですが、5GBの容量をこれだけ短時間でDL・UPできれば、ほとんどのケースにおいて全く問題にはなりません。
アップロードは確かに少し時間がかかってしまっています(計測時が夜間だったので、そもそも私のネットワーク環境の問題もあると思います)が、ほとんどのケースでアップロードは1回だけ、ダウンロードは何回もすることが多いと思いますので、実際のユースケースを考えても全く問題ありませんでした。
- ダウンロード:1分5秒
- アップロード:5分6秒
写真・動画の閲覧体験
サムネイル生成やプレビュー表示は非常に快適です。スマホアプリでもPCでも、クラウド上にあることを忘れるくらいスムーズに画像が表示されます。RAWデータやHEIC形式の写真もしっかりプレビューできるので、撮影データのチェックにも使えます。
動画のストリーミング再生に関しても、基本的にはダウンロードなしでその場ですぐに再生が始まり、ストレスはありません。
ただ、4Kなどの高ビットレート動画に関しては、再生自体は可能なものの、見たいシーンへ一気に飛ばす(シークバーを動かす)操作をした時に、読み込みが追いつかず数秒待たされることがありました。この点に関しては、YouTubeのような最適化された動画配信サービスには劣りますが、個人のバックアップ用途としては許容範囲内だと感じています。
共有機能
pCloudを使っていて最も感動したのが、この「共有機能」の充実ぶりです。単にファイルを誰かに送るだけでなく、ビジネスやクリエイティブ用途でも通用する高度な機能が標準で備わっています。
共有リンク機能の多様さ
通常、Google DriveやDropboxの無料版では有料オプションになりがちな「パスワード設定」や「有効期限設定」が、pCloudでは標準で利用可能です。「このリンクは3日後には無効にしたい」「ダウンロード回数を5回までに制限したい」といった細かいコントロールができるため、仕事相手へのファイル送付にも安心して使えます。
pCloudで共有リンクを作成する手順|安全に使う設定(パスワード/期限/権限)まとめ(Android)
さらに素晴らしいのが、共有リンクの統計データが見れる点です。自分が送ったリンクが「いつ、何回ダウンロードされたか」を管理画面から確認できるため、「相手がちゃんとファイルを受け取ったか」を確認する手間が省けます。これは他の個人向けクラウドストレージにはなかなか無い、非常に便利な機能です。
ブランディング機能
共有リンクのダウンロードページに、自分の好きなタイトル画像やロゴを設定できる「ブランディング機能」も搭載されています。フリーランスやクリエイターの方が、クライアントに作品を納品する際に自分のロゴ入りのページでデータを渡せるため、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
家族・チームでの利用
もちろん、特定のフォルダを家族や友人と共有して、お互いにファイルを編集し合うことも可能です。ただし、Google Workspaceのように「ドキュメントを複数人で同時編集する」といったコラボレーション機能は弱いため、あくまで「ファイルの受け渡しや共有場所」として割り切って使うのが正解です。
買い切り前の注意点
サービス終了リスク
「買い切り」という言葉の響きから「一生使える」と錯覚しがちですが、これはあくまで「pCloudという会社が存続する限り」という条件付きです。未来永劫のデータ保存が保障されるわけではありません。
pCloudがついにサービス終了!?過去の事例から読み解くクラウドサービスの終焉
もしpCloudが倒産したりサービス終了になれば、その時点でクラウド上のデータにはアクセスできなくなりますし、支払った料金が返ってくる保証もありません。また、将来的に規約変更で「無料ユーザーの容量削減」や「一部機能の有料化」などが行われる可能性もゼロではありません。
ただ、これはGoogleやDropboxなどのサブスク型サービスでも「値上げ」や「容量変更」のリスクがあるのと同じ話です。「永久」ではなく「長期前払い(プリペイド)」のような感覚で捉え、先述したように「3〜5年使えば元が取れる」と割り切って利用するのが賢い付き合い方だと言えます。
個人的に気になったデメリット
- AI機能がない
最近のGoogle Driveでは、Geminiなどの生成AIと連携することで、簡単にファイルを探すことができたり、ファイルの内容をベースに生成AIと対話することができますが、そういった先進的な機能はpCloudには搭載されていません。基本的な使い方では問題ないですが、今後さらにAIの利用が当たり前になった時に、少しpCloudには不安があります。 - 共同編集機能がない
Google DriveであればGoogle Docs、OneDriveであればMicrosoft Wordなど、たいていクラウドストレージ上でファイルを共同で編集する機能が搭載されていますが、pCloudにはそういった共同編集機能は全く搭載されておりません。そのため、複数人でデータ共有して同時利用・編集する用途では利用できません。 - 4K動画のストリーミングがきつい
ほとんどの人は4Kで動画を撮影することはないと思いますが、pCloudにアップロードした4K動画は少しストリーミングの際にもたつきます。若干ストレスではありますが、許容の範囲です。


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