買い切り型クラウドストレージサービスとして名前があがることの多い「pCloud」と「Internxt(インターネクスト)」。どちらも「大容量のクラウドストレージを、買い切りで購入できる」という特徴で知られていますが、実はそれ以外に細かな違いが色々とあります。今回は、二つのサービスを比較しつつ、詳しく紹介したいと思います。
買い切り型のクラウドストレージサービスとは?
データをインターネット回線を通じて、外部に保存するという発想は、まだパソコンが普及しきっていない1990年代から始まっていました。技術の進歩と共に発展し、それが誰でも使えるサービスになったのは、2006年のことです(Amazon S3やDropboxなどが提供開始)。そして、この頃のストレージサービスはほぼ全てが「容量などに制限があるものの無料で使える」か「月額・年額の有料プランにしてより制限なく使える」の二択、つまりサブスクリプション(定額制)タイプでした。
なぜならば、ストレージやサーバーと呼ばれるコンピューター類の保守やメンテナンス、部品代、それらを管理する人件費や電気代などは、サービスを提供し続ける限り常時発生するからです。販売したら終わりという物理的な製品ではないため、月額や年額でコストを回収する方が理にかなっていたと考えられます。
買い切り型のプランが提供されるようになったのは、おおよそ2010年代後半になってからのことです。この頃から、それまで安価で大量に導入されていたデータを保存する記憶装置(HDD)と、より高速に動くことのできる高価な記憶装置(SSD)を組み合わせる、といった技術が一般的になり、クラウドストレージサービスの維持コストに変化が生まれてきたものと考えられます。こういう流れの中、「pCloud」は2013年に提供を開始しており、買い切り型の黎明期に誕生した先発サービスです。そして「Internxt」は次に説明する通り、セキュリティ面に特化しながら2020年に創立しました。
特徴は「買い切り型」だけじゃない。「ゼロ知識暗号(Zero-knowledge)」とは?
このような歴史の中で生まれた「pCloud」と「Internxt」は、一般的には「定額制が一般的な中で、買い切り型でサービスを提供している」という特徴で知られています。しかし、もう一つ説明すべき大きな特徴があります。それが「ゼロ知識暗号(Zero-knowledge)」と呼ばれるセキュリティ設計です。
ゼロ知識暗号(Zero-knowledge)とは?
「ゼロ知識暗号(Zero-knowledge)」とは、特定の情報を所有していることを証明する時、その情報の中身を伏せたまま、所有していることを証明する暗号技術です。
例えば、「ある秘密を知っているXさん」が「自分が秘密を知っていることをYさんに信じて欲しい」と思っているとします。ただし、Xさんは秘密の内容をYさんに教えたくありません。秘密の内容を明かすことなく、Yさんに「なるほど、貴方は秘密を知っているんですね」と納得して貰うことはできるのでしょうか?
このような考え方に基づいた研究は1980年代に始まり、数学的に理論が確立しました。その理論が発展・応用することで、2010年代から、プライバシーの保護やデータ漏洩リスクを低減させられる次世代の技術として、IT業界の様々なところに導入され始めました。具体的には「デジタル署名」や「暗号通貨」、そして「クラウドストレージ」といった、セキュリティが特に問われる分野で、広く利用されています。
Internxtは「ゼロ知識暗号」がデフォルトで利用できる
クラウドストレージサービスの中でも後発である「Internxt」は、最初からゼロ知識暗号に基づいた設計が行われています。クラウドサービスの管理者であっても、中に保存されているデータを見ることができません。保存データは分解・暗号化されていて、それを元の状態に戻すことができるのはユーザーだけです。これはセキュリティを考える上では非常に安心できます。
ただし、ユーザーがパスワードなどの情報を失った場合、分割してあるデータを復元できる鍵も消失しかねないというリスクがあります。管理者側がデータを見られないということは、すなわち復旧の手助けもできない、というわけです。
また、ファイル共有機能はInternxtでも提供されていますが、「ダウンロードリンクを相手に渡す」という機能に特化しており、共同編集機能などは利用できません。そういった用途でストレージを利用したい場合は、少し使いづらさを感じてしまうこともあるでしょう。
pCloudは有償オプションで「ゼロ知識暗号」が利用できる
pCloudはデフォルトのストレージサービスには「ゼロ知識暗号」が導入されていません。「pCloud Encryption」というオプションプランを導入することで、暗号化したフォルダ(Cryptoフォルダ)を独立して利用できるようになります。
追加費用が買い切り・定額で発生しますが、pCloudの優れたファイル共有機能などを維持しつつ、秘匿性の高いデータの両方を分散させて保存できるというのは大きなメリットと言えるでしょう。
pCloudの基本的な使い方はこちらの記事で解説しています👇
pCloudの使い方 ー アップロード・共有・ダウンロード方法を写真付きで解説!
ただし、Internxtと同様に、暗号化したフォルダへのパスワードが、データを復元するための鍵という極めて重要な意味を持ちます。やはりこのパスワードを忘れてしまうとデータを復元することが困難なため、取り扱いには注意が必要です。
pCloud有償オプションについての詳細はこちらから👇
pCloud Encryption(Crypto)はゼロ知識?暗号化の仕組み・メリット・できないこと
まとめ
買い切り型ストレージとして先発で多機能な「pCloud」と、後発でセキュリティに特化した「Internxt」。それぞれに特徴があるので、自分がクラウドストレージに求める用途や、扱うデータの種類に応じて検討すると良いでしょう。また、実際の使い勝手についてはそれぞれ一長一短の違いがあるので、まずは無料登録をして利用してみるのもおすすめです。


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